広島大学精神神経科医科学ロゴ
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 教授あいさつ

平成30年1月1日付けで、山脇成人教授の後任として広島大学大学院医歯薬保健学研究科精神神経医科学教室の4代目の教授に就任いたしました。

精神医学は、極めて幅広い領域を包合し、生物学的次元「脳」から心理社会的次元「こころ」にまで及んでいます。これまで、両者は異なる手法を用いて異なる次元として検討され、一方は薬物療法として、他方は精神療法として個別に発展してきました。近年の脳科学的手法の進展に伴い、共通の次元で「脳とこころ」を理解することが可能となってきました。この神経科学の進歩を遅滞なく精神医学研究に応用し、そこから得られた臨床知見を元に精神疾患の生物学的基盤の理解とこれをベースにした診断・治療法の開発をすすめ、統合的な精神医療の構築を目指していきたいと思います。そのために、医学分野だけでなく、計算論的神経科学をはじめ、認知科学、疫学、心理学といった異なる分野の研究者と多くの協同研究を行ってきましたが、これまで培ってきた研究の発展的展開に積極的に取り組んでいきたいと思います。

一方、精神医療には生命科学が取って代われない「高い臨床性」が存在します。多様性を持ち、社会的な存在である患者に臨んで、普遍性を求める生命科学は必ずしも十分な答えを与えてくれません。科学的に不確定な問いが多くを占める臨床では、その時々の判断の多くが「経験」に基づかざるをえません。よい「臨床経験」を積むためには、多くの仲間と臨床上の問題を真剣に議論していく必要があります。優れた臨床医が集まり、盛んに意見の交換が行われるところでは、さらに優れた臨床医が育つという良循環が生まれ、質の高い精神医療の提供及び精神医学・医療の発展のための研究・開発が可能となると考えています。そのための臨床を支える教室(教育環境)作りを最重要課題とし、全力で取り組んでいきたいと思います。

岡本教授写真

  教授 岡本泰昌