広島大学精神神経科医科学ロゴ
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 教授あいさつ
当教室のホームページをご覧いただきありがとうございます。

令和7年4月1日付けで広島大学大学院医系科学研究科・精神神経医科学の教授を拝命いたしました岡田剛と申します。

精神科医療を必要とする患者さんは増加の一途をたどっており、2013年から、日本でも、精神疾患は癌や脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並んで、医療計画上の対策が必要な重要「5疾病」に位置付けられています。また近年では、災害の現場でも精神医療のニーズが高まっており、災害急性期からの精神科医療ニーズに組織的に対応するために災害派遣精神医療チーム(DPAT)も全国で設立され活動しています。

精神医学の特徴は、他の身体医学と同様に自然科学的な方法を主に脳に対して用いることと、人文・社会学的あるいは心理学的方法で患者さんの人間性形成の過程やその躓き、社会生活の困難さをふまえた支援を併せて行っていくところです。

精神医学が対象としている心と脳の関係は未だ十分明らかになっていませんが、近年の脳科学技術の進歩により、脳の構造や機能を可視化し精神機能との関連を検討できるようになってきました。私たちの教室でも、機能的MRIと人工知能(AI)の技術を用いた精神疾患の脳回路バイオマーカーの開発や、動物の神経回路操作下での行動実験による症状の発現メカニズムの解明など、最新の脳科学技術を用いた研究開発に取り組んでいます。

一方で、どれだけ脳科学が進歩しても、患者さんを全人的に理解し最適な治療を検討することの重要性は変わることはありません。広島大学病院が基幹施設となっている精神科専門医研修プログラムでは、精神医学・医療を幅広く学び、精神科専門医・精神保健指定医の取得に必要な臨床経験を積むだけでなく、面接、診断、薬物療法、精神療法の基本をしっかりと身に着けてもらえるよう指導体制を構築しています。また専門医プログラム終了後も、大学病院を核として県内の総合病院精神科、精神科専門病院、精神科クリニックなどの医療機関のみならず、精神保健福祉センター、こども療育センターなどの行政機関と臨床面、教育面、研究面でのネットワークを構築し、多様なニーズに対応できる専門性の確立を支援しています。

精神医学・医療はとても奥が深くやりがいがあります。ぜひ私たちと一緒に精神医学・医療の研鑽を積み、最先端で高度の精神医療を開発・提供していきましょう。多くの皆様の教室への参加を心よりお待ちしています。
岡田剛教授写真

  教授 岡田 剛